カナダ、アバーテ州の火災の経済的影響

先週火曜日(5月31日)に1-3月期の国民経済計算が発表されたことで、経済統計は完全に4-6月期の指標に移行し、本日(6月10日)明らかになった5月の雇用統計は、アルバータ州の山火事の経済的影響に関して解釈の問題があることを示唆した。全国的には、就業者数は1.38万人増とまずまずで、失業率は労働力人口のおよそ2.3万人の減少(州別ではオンタリオ1万人減、アルバータ0.9万人減、ノバスコシア0.4万人減)を背景に6.9%に低下した。平均週給の前年比伸び率は、(4月の3.1%から)1.9%に大きく鈍化し、2015年3月以来の低水準となった。注視する必要のある動きだが、これ以外では労働需給の緩みが拡大している兆候は乏しい(季節調整前の不完全就業率は10.3%から9.9%に低下した)。
アルバータ州そのものの就業者数は2.4万人減で、山火事の波及効果が表れたとみられるが、直接の影響は組み込まれなかった(山火事の現場となった同州フォートマクマレーのデータは収集されず、周辺地域の同様の特徴を持つ人々に置き換えられた)。業種別で天然資源の就業者数が全国的に1.6万人ほど減ったことも、山火事の余波による部分があったとみられる。どの程度が山火事に関連し、どの程度がより恒久的かをもっと確実に把握するには、今後数カ月で明らかになる追加情報を待つ必要があるだろうが、就業者数の減少はこの2つの側面を併せ持っているようだ。
カナダでは今週(6月10日までの週)も住宅市場と家計債務が関心を集め、カナダ銀行(BoC)の金融システム報告(FSR)では、(5月25日の金融政策決定会合後の声明と同様)家計の危うさが増したとの見方が改めて示されたが、全般的なリスク水準は昨年12月の前回FSRからほとんど変わっていないと判断された。同報告ではまた、住宅投資を決定する際、バンクーバーやトロントの最近の高い住宅価格上昇率の延長線上で考えてはならないとの警告が発せられた。マクロプルーデンス政策の面では、12月に発表された3つの措置のうち2つ(7月1日に予想されるCMHC=カナダ住宅金融公社の保証料引き上げと、11月1日に見込まれるOSFI=金融機関監督局の自己資本規制の見直し)がまだ実施されていないと指摘された。残りの1つ――CMHCの保険付きローンを組んで価格が50万~100万カナダドルの住宅を購入する場合の最低頭金の引き上げ――は2月に発効し、BoCは全国(新たに保険を受けた債務者のうち4%が頭金引き上げの対象)より、バンクーバー(同13%)やカルガリー(10%)、トロント(9%)で影響が大きかったと推定している。バンクーバーやトロントに対する影響が比較的大きいことは望ましいものの、カルガリー(CREA=カナダ不動産協会の4月のMLS住宅価格指数によると、価格は前年比3.5%下落)への潜在的な影響は、間口の広い措置で特定の市場に的を絞った成果を上げることの難しさを浮き彫りにする。
上述の点に関連して言えば、ポロズBoC総裁はFSR発表後の記者会見で、金融の安定性に対するリスクがBoCの政策金利決定で考慮されるのはインフレ目標の達成に影響を与える場合だけであると改めて指摘した。こうした認識は、家計債務や住宅市場の脆弱性に対処する最適な手段は金融政策ではなくマクロプルーデンス政策であるとの従来のBoCの情報発信と整合性が取れている。家計債務の最新(1-3月期)の状況は火曜日(6月14日)に明らかになる予定で、信用市場債務/所得比率は昨年10-12月期に過去最高の165.4%に達したのに続き、1-3月期は165.7%とやや上昇する見込みだ。また、翌日は5月のMLS住宅価格指数が発表される。

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